肝高き若者たちが作り上げた舞台 「ひとつ星の伝説」
- ~2014年「ひとつ星の伝説」パンフレットより~
- 2015年4月20日
- 読了時間: 5分

「表現倶楽部うどい」は、「0(ゼロ)」からの出発だった。「この町に中高生の居場所(心が育つ場所)を作りたい」という大人と、「修学旅行で交流した『肝高の阿麻和利』のような活動がしたい」という子どもたちの願いから始まった…いや、初めてしまったから大変。準備などほとんどないまま、ワークショップが始まり、公演日が決まっているという無謀な船出。(今思えば、その決断に拍手なのだが…)当然、活動費があるわけでもない。「ほっとけない」という思いで集まったスタッフたちは、楽器を持ち寄り、ギターの弦さえ自費で購入して、子どもたちに寄り添った。一番の問題点は、舞台経験者がいないこと。「舞台とは何ぞや」がわからない。
何から手をつけ、どこに向かうのかがわからない。「バンド作ったけど、何、演奏する?」「誰が曲書く?」「振り付けは?」「脚本は?」など、問題は山積み。正式に依頼できる予算がある訳もない。「とにかく、子どもたちを平田大一(注釈①)さんに会わせてあげたい」と、受講生の保護者がバザーをし、資金を捻出。設立から2ヶ月で、平田さんに来ていただくことができ、監修も引き受けてくださった。平田さんの指導に感銘を受けた大人たちは、決意した。「とにかくやってみよう!」
そんな、無謀な挑戦に寄り添ってくれたのは、「肝高の阿麻和利」の卒業生だった。
狭山三中と「阿麻和利」メンバーの交流会を、現役高校生の時からコーディネートしていた森屋菜津美さんが、
「表現倶楽部うどぃ」の舞台までの道のりにも、寄り添ってくれた。振り付けを担当してくれた知念みなみさん、比屋根秀人さん、たくさんの若者に寄り添ってもらって、初舞台「風の声がきこえる」を上演することができた。
それから4年が経ち、がむしゃらに走り、そろそろ息切れが始まった大人たち。そんな中、めきめきと頭角を現し、次回作「ひとつ星の伝説」を作り上げていったのは、成長したうどい生達だった。「あんな活動がしたい!」と、立ち上げの声を上げたメンバーは、大学生になり、それぞれの夢を追いかけながら、サポートスタッフとして支えてくれるようになっていた。それだけでなく、彼女たちは、「さやま未来プランナー」も立ち上げた。
『大好きな大阪狭山のまちで、もっとイキイキ!ワクワク!みんなとつながっていきたい!人・情報・地域をつなぐ、コミュニティージョイントリーダーを目指す』をコンセプトに、若者発信のまちづくりにチャレンジし始めていた。現役メンバーの成長も著しく、楽曲制作、振り付け、演技指導、ダンス演出にも挑戦し、10曲にも及ぶパフォーマンスを仕上げていった。当時、頑張ってくれたメンバーは言う。
~『ひとつ星の伝説』は、私たちの宝物~
そんな彼ら彼女らの思い入れの詰まった作品「ひとつ星の伝説」が、三年ぶりに上演される。
そして、うどい生・卒業生たちは、驚く程の成長を遂げていた。
「さやま未来プランナー」は、数々の実績を作りながら、地域の若者たちを巻き込み、平成25年10月、大阪狭山市の観光大使に任命された。
舞台まで一ヶ月を切ったある日のワークショップ。立ち上げ時からスタッフをしているMIDORIが呟いた。
「何か、うどい…凄なったな。」何ぞやと思い、辺りを見る。
山のようなダメ出しで潰れそうになり、泣き出したうどい生を、高3が連れ出し、寄り添っている。ウォーミングアップで前に立つのは、そろそろ「次」を自覚し始めた高1・高2、受験休みから帰ってきた中3にダンスを教えている中2の女の子、重要なダンスパートを支える強い瞳の中1、互いの技術と感性を持ち寄って音を紡いでいるバンド、眩しそうにみんなを見つめる研修生の小学生。そして、その子達を支えるのは、卒業生を中心とした若者スタッフ。演出・演技指導、振り付け、舞台監督、スチール、広報、SE音響、それぞれの「持ち場」で、経験値と専門性を身につけ、しっかり「土台」を作ってくれていた。
「ほんまや。凄いな。」
演出「あおい」
中学時代からうどいの中心だった彼女は、振り付けからうどい生のメンタルサポートまで引き受けてくれた。
演技指導「なつき」
東京で、ミュージカル出演などの経験を重ね、吸収した「舞台魂」を後輩に吹き込んでくれた。
『ひとつになりたい』の振り付けは、ヒップホップのインストラクターもこなす「しほ」
『ふたり』『奇跡の水辺から』のダンスパフォーマンスは、神戸大学で「表現」を学ぶ「みゆな」
舞台監督は、鋼鉄の責任感を持つイケメン「しゅんいち」と、初代サキの「かとなつ」
SE担当の「よね」は、うどいの卒業生ではなく、プランナーからのスタート。抜群の安定感で支えてくれる。
研究生に寄り添うのは、先生の卵「しょうご」と母性を感じる「はるか」
広報は、『前さんは一日にしてならず』という格言とともに、プランナーのレジェンド的存在になった「前さん」
スチールカメラ「ゆうと」
アラカシ担当
オレンジクルー
事務所に行くと、大きな龍を描いている若者達がいた。彼らは、プランナーがこぞって参加する「大阪狭山市成人式実行委員会」から合流してくれたメンバーだった。
「ひとつ星の伝説」は、狭山池のほとりで育つ若者たちの物語だ。楽曲「ふたり」「ひとつになりたい」では、
若さゆえの葛藤を描き、そして、「命水のうた」「ココロの風景」「ひとつ星の伝説」は、感動体験を繰り返し、この地に「根っこ」を持った若者が、肝高く羽ばたく姿を描いている。その作品を支えるのが、「若い力」であることが、とても誇らしいし、それこそが「表現倶楽部うどい」の特色である。
沖縄の肝高き若者たちが寄り添ってくれて始まった「表現倶楽部うどい」。その「志」を受け継いだ大阪狭山の若者たちが作り上げた舞台「ひとつ星の伝説」。この素晴らしき連鎖が、次の地域に広がり、たくさんの若き魂が輝きますように。
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